白人警官による黒人男性の死亡事故を発端としたブラックライブズマター(以下BLM)がアメリカではまだ続いています。
日本においては差別は良くないよなと思いつつも、そのデモが暴動、略奪にエスカレートしていることや、日本人も差別されているのにという思いもあるからなのか否定的な見方をする人が多いように感じられます。
日本では過激な場面しかニュースで取り上げられないことも関係あるでしょう。
しかし僕は、歴史の1ページという視点ではBLMは成功すると考えています。
このBLMが将来歴史の教科書に載ることをイメージしてみましょう。
その際に書かれることは、発端となった事件やそれまでの差別の歴史、そしてアフリカからの黒人強制連行まで関連付けて遡られることでしょう。
それからその時の大統領発言、政府対応や世界への広がりも記載されるはずです。
しかしその際に暴動、略奪により死傷した人たちの痛みが伝えられることはないということです。
歴史を振り返る時はそういったものは省略されてしまいます。
だからBLMは歴史に残り、その結果として将来的な差別是正に繋がる(過去を振り返る時は「繋がった」)運動として後世に評価されることでしょう。
この運動で苦しんだ人たちのことは忘れられてしまい、人々が差別に立ち向かった素晴らしいことという認識に変容していくと思います。
そしてそれは我々がこれまでに学んだ歴史でも言えることです。
学校の授業でいくつもの戦争、事件を学んできましたが、そこに痛み、苦しみ、叫びはなく、人が死んだとしても人数、規模のデータがあるだけです。
しかし少しでもその当時の人々が非常に苦しんだのだとイメージできたなら、我々はもうそのようなことは繰り返すべきではないともっと強く思うことができ、問題はさらに早く解決されるのではないでしょうか。