先日読んだ本。「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」
宅配で受け取ってどんなもんかと初めの方だけを読むつもりが、内容に引き込まれて一気に読み終えました。
彼はベトナム戦争から生還しましたが毎晩悪夢にうなされるPTSDを抱え、家族や社会に適合できずにホームレスにまでなってしまいました。そして高校時代の同級生との再会。その同級生の導きによって小学校でベトナム戦争について初めての講演をします。そこで子供から人を殺したかどうかを質問されます。その質問へ答えたことから彼の人生は大きく変わっていきます。
この本を読んでベトナムの人々があんなにもむごたらしく、しかも意味もなく殺されていた事がやっと想像することができました。それまでは映画の中の話であり、歴史上の出来事でした。実際に起こっていたベトナム戦争とは自分の無知に罪悪感を感じるほどのおぞましさでした。
彼の場合、兵士となったいきさつには貧困と人種差別がありました。アメリカではよくある話です。スラム街に行けばそんな人達が多くいたのでしょう。そう、それは日常的な事だったのです。その日常で育った人達が戦争で多くの人間を殺しました。
それは私たちの身近で巻き起こったつむじ風が次第に大きくなり嵐になっていく様な物です。
逆に言えば戦争は私たちが日常の生活で怒りや憎しみを他人にぶつけず、助け合う事によって防げるという事でもあります。
戦争は遠くの国で起きている自分たちとは関係のない事なのだ。と思う事は大きな間違いであり危険です。我が国が起こした先の大戦も、昔の事であり一部の政治家、軍部の責任だと思う事もまたしかりです。
ネルソンさんも日本国憲法を作った人達も戦争体験者です。
他の戦争体験者の多くも9条は平和憲法であり守るべき物だと言います。
そして現在、戦争体験者ではない人達がそれを変えようとしています。
現代の日本人は幸運だと思います。
彼のように戦争参加、殺人を行ってからその無意味さ残酷さを体験する必要もなくそれが悪い事だと知っています。
しかし気をつけなければ再び起こるでしょう。人類の歴史はずっとそうであったのですから。また戦争をして間違いだったと気付いても遅いのです。
その時はもう国自体が滅んでいるかもしれません。
そうなる前に戦争がどんな物かを知りましょう。
「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 (講談社文庫)
- 作者: アレン・ネルソン
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/12
- メディア: 文庫
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講演を本にまとめた物なので、話し言葉で書かれており読みやすいです。
僕の故郷でもある沖縄の事も言及されていました。(米軍基地)
よく聞いた話だったので本当に日常茶飯事だったのだなと思い胸が痛くなりました。